夫に私を殺させる方法
――うん。なるほど!


 私は一人納得しました。

 おかしいと思っていたのです。そもそも、夫との出会いからして、かなりおかしいの一言でした。


 それは3年と少し前、すっかり日の落ちた、雨の降る寒い日のこと。
 私が仕事を終えて自宅に帰ってくると、家の門の前に、傘もささずにうずくまる一人の男がいました。

 どう見ても
 あ や し い 男でした。


――この現代に。

 なんで黒ずくめの、しかもフード付き? しかもそれ、レインコートに見えて普通のコートですよね? どこで購入したんですか。ハロウィンの仮装コーナーですか。

 というか、目の前の伊藤さん家にはひさしがあって雨宿りできるのに、なんでわざわざ、何もない我が家の前で雨に打たれながら座っているんでしょうか。

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