夫に私を殺させる方法
 初めは娘も連れて行くものと思っていたが、妻が。

「まさか。そんな残酷なこと……っ。」

 と人でなしを見るような目で私を見るので、当日は一時保育に預けることとした。
 小さな子が入れるような洞窟ではないのかもしれない。


 実際に集合場所に行ってみると、意外にも、集まっている8人程度の客のほとんどは女性であった。
 男性客は私を入れて2人のみのようだ。


 変なツナギを着せられ、インストラクターを真似るように準備運動までさせられた。妻は柔軟が苦手らしく「グググ」と変な声を出しながら体を折り曲げている。

 どうやら想像していたより、かなり本格的な洞窟探検らしい。


 支給されたヘルメットを装着していると、何故か妻は私を見て、

「ヘルメットはうまく装着しないと、すぐに取れるんですよね。しかも、女性はこういうの苦手ですから。大丈夫です。」

 と意味不明なことを言っていた。取れたら大丈夫じゃないだろう。


 インストラクター指定の保険にも加入させられた。全員に加入が義務付けられているらしい。

 適当にサインしておけば良いと思ったが、生真面目な妻は、保険の適用条件や重複した場合の扱いなどを細かく質問していた。
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