夫に私を殺させる方法
※※※※


 私の妻は変わっている。

 鍾乳洞で自殺行為に及んだと思いきや、どうやらそれは、情報員である私に殺されなければならないという、斜め上の思い込みによるものだったという。 


 幸いにも、我々が落ちた場所は、さほど深い場所ではなかった。

 私は鍾乳洞の底で妻の安全を確認すると、改めてヘッドライトを装着し、妻を抱えたまま高速で這い上がった。

 そして少し広い道に出るや否や、そのままインストラクターを無視して走り抜け、勝手に洞窟を脱出した。すぐにトイレに向かったことは言うまでもない。

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