夫に私を殺させる方法
 そんなマリのことも、高校卒業後はすっかり忘れていた。先日、一時保育で働いている友人に会いに行ったときに、マリと鉢合わせをするまでは。


 一目見て、マリだと分かった。

 平凡な顔は学生の頃からほとんど変わっていない。化粧も服装もパッとしない。
 なのにここから出てきたということは、マリには生意気にも子どもがいるのか。私はまだ独身なのに。


 先を越されたようでイラッとしたが、私は大人の対応として、マリに笑いかけた。

「あら、久しぶりね。」

 その日の私は友人と会うため、メイクも服装も気合いを入れていた。かたやマリは、見るからに適当な服装。


――どう? 素敵でしょう? 

 学生の頃より一層差がついてしまったという事実を、受け入れなさい。


 私が勝っている、はずだった。
 しかし、マリは特に表情も変えずに私を見ると、小さく首を傾げたのだ。


「――どちらさまですか?」

 こ う い う 奴 だった!

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