夫に私を殺させる方法
 ある日、いつものように沈黙の食事を終えた後、唐突に、ニコリともしない無表情でプロポーズをされたのです。

「今日は実に有意義かつ楽しい食事だった。ついては、私と結婚してほしい。」

 指輪まで差し出されました。


――ええと、今日の食事で話したの、メインの料理を何にするかと、ドリンクのお代わりのことだけでしたよね!? それも話した相手はウエイトレスさんだし?


 意味が分かりませんが、この男がすごくおかしいことだけは分かります。
 いつの間にか左手を取られ、指輪を勝手に嵌められました。


――何でサイズがピッタリなんでしょう? しかもこの指輪、私の好みにもピッタリなんですけど。


 ちょっと引きました。けれど口下手なため、うまく気持ちを伝えることもできず、結局、なんやかんやと流されるままに結婚することになりました。
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