夫に私を殺させる方法
――さて、色々と納得はしましたが、困りました。


 私が殺されなければ、夫と娘が殺されてしまうようです。国単位の諜報組織から狙われたのであれば、一個人が逃れるということは不可能でしょう。

 娘を殺させるわけにはいきませんから、私が殺されるしかありません。


 しかしそうすれば、経済的に問題が生じます。

 我が家の家計は正社員の私が支えており、夫は非正規労働者。仮に夫が再婚しても、相手が入国したばかりの外国人ということであれば、安定した収入は望みにくいです。


 夫の祖国がどこまで経済的な保障をしてくれるのか分かりませんし、娘の面倒をしっかり見てもらえるかも分かりません。
 どうしても殺されなければならないのなら、残されるこの子が困らないよう、何としても現金を残したいところ。

 そしてこの状況で、現金を残すために考えられるとすれば、生命保険金。――これしかない!

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