青い海に揺らぐ
きぃ…と開いた屋上に続く扉。
そこに誰もいないことを確認してから、あのさと話が切り出される。
「付き合ってほしんだよねぇ」
何もかもを省いたような告白だった。
それにどこか薄ら寒さを感じながらも、いつものようにお断りをする。
「うん、まぁわかってたけどさ」
さっきまでと何ひとつ変わらない態度だった。
「遊びでいいから、イイコトしようよ」
「え?」
そう言ってぐっと詰められた距離に、頭よりも先に身体が反応した。
持てる限りの力で先輩の体を押し返せば、尻もちをつかせられないまでも、少しだけ間隔を空けることはできて。
「……ってぇ」
押されたらしいお腹あたりをさすりながらも、全然痛くなさそうにニヤニヤする先輩。
「なに、そういうプレイ?」
「は? なんですか!?」
「いいじゃんいいじゃん。誰も見てないし」
そう言って近づいてくる先輩にやめてください!と叫べば、強く腕を掴まれる。
「何お高く止まってんだよ。どうせ男漁ってんだろ。知ってんだよ」
なにそれ。
そんなの知らない。
近づいてくる顔が怖くて、握られた腕が痛くて。
恐怖に声も出せず、足が震えて逃げることもできない。
壁に押し付けられていよいよやばいと唇を噛み締めた時だった。