青い海に揺らぐ

「スマホある？」
「え？」

唐突な言葉に戸惑っていれば、スマホ、ともう一度言われ、鞄に手を伸ばそうとする。


「あ、教室……」

でも手元になかったそれに、そういえば教室に置いたまま来てしまったことに今更ながらに気がついた。


「なら、落ち着いたら戻ろう」


青野くんはずっと側にいてくれた。

帰っていいんだよと何回か言ってみたものの、落ち着いたらでいいよ、とよくわからない返事をされて。


結局2人で教室へと戻れば、そこには誰もおらず机の上にぽつんと私の鞄だけが取り残されていた。


はい、と中からスマホを取り出せば、ずいっと青野くんのスマホを目の前に出される。


「これ、俺の連絡先」

え？と思うまもなく連絡先を交換された。


「いつでも呼んでいいから」
「え？」
「さっきみたいな時とか」

じわりと何かが胸に広がる。