青い海に揺らぐ
「いや、でも」
「不安だったら、告白される時は全部呼べばいい。いつでも行くから」
不安とか、そんなんじゃなくて。
「そんなの、青野くんに申し訳ないよ」
「……彼氏とかいるんなら、悪かった。忘れて」
「違うの!」
思ったよりも大きな声が出て、自分でもびっくりしてしまう。
でも、これだけはわかって欲しかった。
「彼氏はいないよ。それに本当に今日みたいなことは初めてだから。いつもは普通にお断りして、それで終わりなの」
だからわざわざ面倒なことを青野くんに押し付けられない。
私のためなんかにそんなこと、しなくていいんだよ。
「……俺が心配だから」
「え?」
「無理にしろとは言わない。でも、本当に必要だったら遠慮せずに連絡して欲しい」
眼鏡の奥に、真っ直ぐな青い目が見える。
「……うん。ありがとう」
なんだか泣きたいような気持ちになって、慌ててスマホを鞄に押し込めば、その拍子にひょこりと青い本が顔を出した。