青い海に揺らぐ
楽しみだった中学生活。
新しい環境に、新しい友達、そしてドキドキする恋愛だって出来るかもしれない。
「……綾瀬さん……また……なんだって」
「……えぇ……ひどいね……」
けれどそんな私の思いとは裏腹に、聞こえてくるのはいつだってドロドロと私を沈ませるものばかりで。
最初の告白から数ヶ月。
2学期になったところで、私への風当たりは相も変わらず強いままだった。
「ってことで、綾瀬さんいいよね?」
「男子は岡くんが図書委員らしいよ、よかったね!」
笑顔の下から滲み出るにやにやとした悪意が纏わりつく。
岡くんとは、ついこの前告白してくれた男の子で、私が振った相手。
あの事件の後も私への告白は絶えることはなく、それがより一層女子たちからの視線を厳しいものにしていた。
やれあの人は誰々ちゃんが好きだったのにだの、やれ人の彼氏を誑かされただの。
最早どれが嘘でどれが本当かなんてわからなくて、ただ伝播していく悪意を止めることもできなくて。
そして、誰に告白されようとも私は決して首を縦には振らなかった。
より一層面倒くさいことになるのは目に見えていたし、何よりも怖かったのだ。