学年1モテるクール男子は地味子ちゃんを助けたい。
いつもの私なら大声で叫んでしまうところだけど、ここは図書室。


他の人の読書や勉強の邪魔をしないように、意地でも口をふさいで我慢する。


「ごめん。怖がらせるつもりはなかったんだけど、呼んでも反応がなかったから、つい」

「だ、大丈夫。私も集中してたから、気付いてなくて……」

「それって、これのこと?」


氷高くんは、私の隣にあった椅子に座りながら、書きかけの計画書に視線を移した。


テーブルの上に置かれたそれは、ほとんど私の字で埋まっている。


我ながらけっこう頑張ったなぁ……。


完成はまだまだ先だけど。


「早いな。締め切りまでまだ時間あるのに、もうこんなに書いてんだ」


「うん。けっこう調べることも多いし、考えて書く欄もあるから。とにかく早く取り組まないと、間に合わなくて。氷高くんは、計画書どこまで進めてるの?」

「俺はまだ」

氷高くんは首を横にふった。


「金曜の夜にでもやれば間に合うだろうから、今のところはいいかなって思ってたけど」


「そうなんだ……」


いいなあ。きっと、氷高くんの班の人たちは、みんなで手分けして協力できてるんだ。


自分と彼の現状の落差に、少し落ち込んでいると。


「でも……及川が頑張ってるなら、俺もやってみようかな」


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