学年1モテるクール男子は地味子ちゃんを助けたい。
「及川っ!」


突然、教室の扉がものすごい勢いでガラッと開いた。


大きな音と大きな声にびっくりした私の目に、知ってる顔が映り込む。


「氷高……、くん……?」

「いつまでたっても図書室に来ないから迎えに来たんだよ。約束したのに、こんなに遅いと思わなくて――」


と、氷高くんは教室に足を踏み入れながら言いかけて、突然「げっ」と顔をしかめた。


「おい……、何だこれ?」

「修学旅行のしおりの紙。今日中に作らないといけなくなっちゃって……」


気が遠くなるほど高く積み上げられたプリントの山を凝視する氷高くんに、私は苦笑いして答える。


「は? 何で? やるにしても、同じクラスの奴らはどうしたんだよ」

「それが、みんな先に帰っちゃったみたいで……。私一人で作らなきゃいけなくなっちゃったんだ……」

「押しつけられたんだろ」

氷高くんの真剣な眼差しと声に、どくん、と私の心臓が大きく脈打った。


「なんで、それを……」

「さっき、この教室から出てきた女子4人が、廊下で好き勝手ほざいてる声が聞こえたんだよ。向こうは俺に気付いてなかったみたいだけど」


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