学年1モテるクール男子は地味子ちゃんを助けたい。
「……」


「昼休み、一人で計画書書いてたのもそうなんだろ? ノートの件も。あんなの、誰かと手分けすればすぐに終わるのに、俺が声をかけるまで誰にも頼らず一人でこなそうとする及川の姿がずっと引っかかってたけど、それもあいつらに強要されて――」
「わ、私が原因だから……」


思わず口走っていることに気付いてハッとした。


いつも心の中で自分自身に言い聞かせて、日頃から都合よく扱われる度に、「仕方ない」と自分の本心をおおい隠していた言葉。


ついうっかりポロッと口にしてしまったそれは、氷高くんの耳にもしっかり届いていたようで、心配するように私の顔をのぞき込んでくる。


「及川……」

「先月の、4月の終わり頃からはじまったの。毎日毎日、氷高くんがさっき見た私の親友だった子とその友達に、あれこれ頼み事をされて、従わなきゃいけなくなって。断ろうとしても無理やり押しつけられるようになったのは」


今まで、誰にも莉奈ちゃんたちのことを打ち明けることはなかった。



話したところで何かが変わると思えないし、今日の昼休みみたいにどこかで莉奈ちゃんたちに「わたしたちのことを悪く言うな」と怒られるのは目に見えていたから。


でも、氷高くんに打ち明けていくうちに気付いたけれど、本当はずっとこの話を、誰かに聞いて欲しかったんだ。

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