学年1モテるクール男子は地味子ちゃんを助けたい。
『おーい、お前らー。及川を入れてやってくれ』

『え? 何でですか?』


先生が声をかけると、莉奈ちゃんが友達とのおしゃべりをやめて、眉間にしわを寄せた。


『お前らの班の人数が、あと一人足りないからだよ。それに、白咲は及川と同じ小学校出身なんだろ?』

『まあ、そうですけど……』

『じゃあ頼んだよ。いいな?』

『はあ……、わかりました』


莉奈ちゃんはぐいぐいくる先生の圧に負けて、いまいち納得してないまま、仕方なく自分たちの班に私を引き取ってくれた。


バカな私は莉奈ちゃんのその行為が、まだ彼女の中に自分への情があると思い込んでいて、「もしかしたら、このフィールドワークの班がきっかけで、また莉奈ちゃんとの友情が復活するかもしれない」なんて、勝手に舞い上がってしまって……。


『莉奈ちゃん、ありがとう。また一緒にいれるなんて、なんだか昔に戻ったみたいですごく嬉しいよ』


笑顔で感謝を伝えたとたん、同じ班の女の子たちが肩をふるわせてクスクスと笑い出した。


『ちょ、莉奈ちゃんって……』

『莉奈。もしかしてあんた、及川さんと友達だったの?』

『はあ?』


からかってくる友達に、莉奈ちゃんはへらっと笑いながら否定した。


『ちょっと何~? いきなりわけわかんないこと言わないでくれる?』

『いやいやいや。だって、莉奈ちゃんだよ? 呼び方もすごく親しげだったし、絶対仲良かったっしょ』

『ということは……莉奈は、小学生時代地味子だったってこと?』

『やっば。地味子の莉奈が及川さんと仲良くしてるとか、想像したらめっちゃウケる』

『なっ……!』


今度はお腹を抱えてゲラゲラ笑い出す女の子たちに、莉奈ちゃんの顔が耳まで真っ赤に染まる。


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