学年1モテるクール男子は地味子ちゃんを助けたい。
「今日はどうだった?」

「楽しかったよ。明日のフィールドワークのことを考えたら緊張するけど……」

「試練だな。でも、もし出先で会ったら声かけるから」

「うん。ありがとう」


それから他愛のない会話をした後、氷高くんは「俺、ちょっと売店行ってくる」と近くにあった階段を指差した。


「うん。わかった」


私はうなずいて、氷高くんの姿を見送った。


彼の姿が見えなくなったその時、


「及川さん、ちょっといい?」


突然肩をつかまれて、無理やりぐいっと後ろを振り向かされた。


視線の先には、明らかにわざとらしくにっこりと笑った莉奈ちゃん。


同じフィールドワークの班の女子3人が、私が逃げ出さないようにぐるりと回りを取り囲む。


「ちょっと、顔貸しなよ」


莉奈ちゃんの顔からふっと笑顔が消えて、表情が険しくなる。


「……、いいよ」


いつもならおどおどするところだけど、私はもう一人ぼっちじゃない。


そう思えるせいか、ついどことなく肝が据わったような言い方になってしまった。


そんな私に莉奈ちゃんたちはに違和感を覚えたように首をかしげながらも、人の気配がしない非常階段へ私を引っぱって向かった。


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