学年1モテるクール男子は地味子ちゃんを助けたい。
「そうだよ。身の程を知りなよ」

「陰キャなんかに、紫苑くんは相応しくないから!」

「絶対裏でキモいって思われてるって!」


やっぱりこの子たちの言葉の棘は、心に刺さってズキズキと痛い。


でも、ここで落ち込んでいる場合じゃない。


氷高くんと決めたんだ。一緒に戦うって。莉奈ちゃんたちと立ち向かうって。


「氷高くんは裏で誰かを貶すような人じゃないよ」


私はいつもの臆病な自分を封じ込んで、まっすぐに莉奈ちゃんたちに言い放った。


「地味子とか、陰キャとか……それは事実だし自覚してる。でも、だからといって見下されたり、仲良くしている人を制限されたり、都合よく扱われる筋合いはないと思う。莉奈ちゃんたちもそんなことをされたら嫌でしょ?」

「その『莉奈ちゃん』って呼ぶのやめてよ!」

莉奈ちゃんは感情的になって叫んだ。


「わたし、及川さんなんかに馴れ馴れしく呼ばれたくない」

「そんなこと言われても……出会ってから2年間ずっとそう呼んでたんだから、急には変われないよ。だって私たち、親友だったし……」

「うるさいっ!」


振り上げられた莉奈ちゃんの手が、私の顔に向かって勢いよく振り下ろされる。


もしかして、平手打ち⁉ 肝心なところでいつもの臆病を発揮して、ぎゅっと目をつぶったその時。


< 32 / 36 >

この作品をシェア

pagetop