学年1モテるクール男子は地味子ちゃんを助けたい。
「おい、何やってんだよ」


頭の上から声が降ってきた。


ゆっくりと目を開けると、莉奈ちゃんの手首を握って動きを止めている氷高くんがそこにいて、私は思わず驚愕する。


「氷高くん……⁉」

「し、紫苑……」


莉奈ちゃんは苦虫を嚙み潰したような顔をして氷高くんの顔を見上げた。


さっきまで息巻いていた取り巻きたちも、気まずそうにしおらしくなる。


「氷高くん、売店行ったんじゃなかったっけ……?」

「いや、気になって戻ってた。あと、会話全部聞こえてたよ」


私の質問に氷高くんは穏やかな声で答えると、「で」と態度を変えて冷たい目で莉奈ちゃんを見下ろした。


「えっと、白咲だっけ? 及川のこと、こんな目立たない所に呼び出したのに、ワーワー騒いで大丈夫? 周り見た? めっちゃ注目されてるよ」

「えっ⁉」


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