学年1モテるクール男子は地味子ちゃんを助けたい。
来たばかりの時は、人気がなかったの非常階段。


でも、今改めてあたりを見渡すと、ここには――、


「おい! 女子が揉めてんぞ!」

「今、黒髪ボブの子がビンタされそうじゃなかった?」

「なんかすっごい修羅場ってるって聞いたけど、マジー?」


階段の上から下から、廊下から。


あちこちから同じ学年の生徒たちがわらわらと集まって、私たちを取り囲んでいた。


「ちょっと、何でこんなに人がいるの⁉」


動揺する莉奈ちゃんに、氷高くんは平然として、


「いや、あれだけ大声を上げれば、興味持って集まってくるやつらはいるだろ。それに俺、割と目立つし」

「……っ」


莉奈ちゃんは唇を噛みしめた。


その時、「てかさー」と聞き覚えのある声がして、誰かが人ごみをかき分けて、私たちの前に姿を現す。


声の主は、小学生時代私と同じクラスの男子だった。


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