総長様は恋の反抗期真っただ中
「兄貴と、せいぜい仲良くやれよ」
ありったけの愛をこめて、皮肉めいたセリフをこぼした俺。
兄貴なら、優しく抱きしめるんだろうな。
顔を歪め唇をかみしめているのは、兄貴の方が椿を幸せにできる男だとわかってしまったことが心底悔しいからだろう。
「こんなものいらない」
俺は宝物にするつもりだった缶コーヒーを、怒り顔で椿に放り投げると
「二度と俺に話しかけるな!」
不機嫌顔でズカズカと歩き、校舎内に逃げこんだ。
このとき俺は、怒りに支配されていたせいで気づかなったんだ。
缶コーヒーを大事そうに抱えた椿が、必死に涙を堪えていたことを。