総長様は恋の反抗期真っただ中

 毎日、幼稚園でののしられる日々。

 先生が近くにいない隙を狙って私を取り囲むから、助けを求められなくて。

 気弱だった私は、涙をこらえて黙り込むだけ。



 本当につらかったんだけど、いじめられていた私の前に現れてくれたの。

 目を吊り上げた、青い園服姿の朝都が。



 腰には手作りの段ボールベルト。

 手には新聞紙で作った剣を握りしめていて。

 友達とヒーローごっこをしている途中で、駆けつけてくれたみたい。



 あの時ね、目の前で手を広げて私をかばう朝都が、テレビよりもカッコいい本物のヒーローに見えたんだ。




 『お前ら、椿を囲んで何やってんだよ!』


 『なっ、何でもないよ。椿ちゃんと仲良く遊んでただけだし』


 『この前も椿をいじめてたよな?』


 『……っ』


 『今すぐ椿に謝れ! 土下座しろ! もう二度と酷いことは言わないって、今ここで誓え!』

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