総長様は恋の反抗期真っただ中


 ショックだったよ、朝都に彼女ができたこと。

 悲しみの沼が深すぎて、私は2日間笑顔が作れなかった。



 でも泣きはらした後、大事なことに気がついたんだ。



 『恋心』は自分勝手な感情で。

 「好きな人と結ばれたい」と、自分の幸せを欲してしまうもの。



 それに対して『愛情』は、自己犠牲に近くて。

 私が幸せになれるかなんて関係ない。

 自分が傷ついたとしても、大好きな人の幸せを心の底から願い続けてしまう感情なんだって。



 それに気が付いてから、私は証明したくなったんだ。



 小さいころから抱き続けてきた朝都への思いが、恋心ではなく愛情だって。

 自分の恋心を犠牲にしてでも、私は朝都の幸せを願えるんだって。




 女嫌いの朝都に彼女ができたのなら、祝福してあげよう。


 二人の明るい未来を応援してあげよう。




 そのためにまず私がしなきゃいけないことは。

 もちろん、これしかないよね?



 『朝都との婚約を、破棄してあげなきゃ!』


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