総長様は恋の反抗期真っただ中

 「生徒会長のこの俺が呼びかけたんだ。大盛況なのは当たり前だ」


 「副会長の私も、チラシ作りを頑張ったんだけどな」


 「余計なことをするなって、言ってあっただろーが!」



 あーあ。

 毎度のことながら、声を荒らげちゃったし。



 優しい声を吐き出せよ。

 目の前にいるのは、たまらなく大好きな女なんだからさ。



 「もっと優しく言ってくれればいいのに。最強総長様に怒鳴られたら、私だってビビるんだからね。アハハハハ~」



 椿が声を出して笑ってくれてはいるものの、彼女の瞳が悲しそうに揺らいでいると思ってしまうのは、罪悪感が俺の中に充満しているせいなのかもしれない。



 俺だって憧れているんだ。

 大好きな女を思いきり溺愛する、童話の中の王子様みたいな優しい男に。



 それなのに、好きと思えば思うほど平常心は逃げ去って。

 ぶっきらぼうで冷たい態度を取ってしまう。

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