総長様は恋の反抗期真っただ中
「元旦の屋上で、一枚の毛布にくるまり、恋人と初日の出が顔を出すのを待ちつづけるなんて、私は素敵だと思うけどな」
「学園行事で愛とか恋とかほざいてる時点で、マジひくわ。この中で来年の元旦まで関係が続いてるカップルなんて、どうせいないんだろうな」
「女嫌いで、一生恋なんかしないって学園中に断言しまくってるからって、他人の恋の幸せをひがまないの。朝都のハッピーも逃げちゃうよ」
「椿は口うるさい女だな。少しは黙ってろ」
「はいはい。最強総長様のご機嫌を損ねて、太陽が顔を出す前に生徒全員が屋上から追い出されちゃっても困るし。私はひーちゃんたちのところに行ってくるね」
「フン、好きにしろ」
「朝都もしっかり、初日の出に願掛けするんだよ。じゃあねー」
ツンとした態度を取ってしまった俺を置き去りにして、笑顔で駆けていった椿。
「俺が口走ったことは全部逆の意味だって、そろそろわかれよバーカ」
寒さで白くなる吐息に、秘めた恋心を溶け込ませることしかできない自分が、情けなくてたまらない。