処刑後転生した悪女は、狼男と山奥でスローライフを満喫するようです。〜皇帝陛下、今更愛に気づいてももう遅い〜

そんな暗い雰囲気が、流れ出した所で、コックが食堂へとやってきた。

「ランチが出来ました！」

　彼の明るい表情から、ランチが自信作である事が伺える。

「では。ご用意いたします」

　コック達といつの間にかコックと同じ格好を着たリークがお皿を次々に私達の目の前に置いていく。

「まずは前菜です。マイタケを炒めてレタスやにんじんと合わせてサラダにしてみました。ドレッシングにはバルサミコ酢を使っております」

　という料理長の説明からも、自信が垣間見える。私はリークへ手招きし、椅子に座るように誘導した。

「リークも一緒に食べましょ」

　だが気を使っているのか動けないでいるリークへ、料理長も椅子に座って食事をするよう、促してくれた。リークは料理長へ頭を下げ、私の右隣に座る。

「すまないな」
「いえいえ」

　並べられた前菜を、私達はいただきます。と挨拶をしてからフォークで頂く。

「むっ…」

　マイタケは柔らかく、ドレッシングの味をしっかり吸収しておりとても美味しい。他の野菜もしゃきしゃきしていて歯ごたえがある。
　前菜の後は、キノコのポタージュスープが運ばれてきた。このスープもキノコのだしが染みこみ、濃厚で美味しかった。パンにつけて食べるともっと美味しかったかもしれない。

「メインディッシュは鹿肉のステーキです。ソースにはマイタケも使用しております」

　白い皿に乗った鹿肉のステーキが運ばれてきた。こげ茶色のお肉は肉厚で、周りには細かく刻まれたマイタケが混じった茶色いソースがかかっている。

「これは美味しそうね…！」

　ナジャがそう声を漏らすほどに、見ただけでステーキの美味しさが伝わって来る気がした。私は銀のナイフとフォークを持ち、鹿肉のステーキを刺してみる。

「柔らかい…」


　お肉はとても柔らかい。もっと硬いかと想定していたがそれを覆すくらいの柔らかさだ。