処刑後転生した悪女は、狼男と山奥でスローライフを満喫するようです。〜皇帝陛下、今更愛に気づいてももう遅い〜

　朝食を食べ終えて大体10分後。侍女がお皿を下げにやって来た。
　侍女はお皿を台車へ下げながら、私達の方へと向く。

「お味は如何でした？」

　侍女への問いに対して、ナジャはすごく美味しかったと返す。

「美味しかったです。ごちそうさまでした」

　と、私も返すと、侍女はほっと一息吐きながら良かったです。と言いつつ硬い笑顔を見せてくれた。

（プレッシャーがかかっているんだろう）

　その後は仮眠を取ったり部屋の中をうろうろしながら時間を潰す。

（部屋から自由には出られないのがな…）

　部屋からは基本、トイレと誰かに呼ばれた時以外出入りが出来ない。なので退屈さを感じてしまう。
　だが、どうにかして退屈を解消しなければならない。私はベッドでしばらく寝たのち、あの歴史書を読み返すなどして過ごしていた。ナジャもまた然りである。

「もうお昼ね」

　ナジャがそう呟いた時、部屋の扉をノックする音がして侍女が2人入ってきた。

「お2人とも、今日の昼食は皇帝陛下と共に食べて頂く事になりました」
「え」

　いきなりの事で思わず私とナジャは口を開けた変な反応をしてしまう。

（あ、思い出した。仮病使ったんだ…）
「あの、私達まだ体調戻ってないんですが…その、よろしいので？」

　と、私はおそるおそる侍女に尋ねてみる。

「距離を取れば大丈夫だという判断になりましたので…」

　そんなんで良いのか。だが、ここはもう覚悟を決める他は無いようだ。

「分かりました」

　そう答えた私を見たナジャも、同じく分かりました。と侍女に返したのだった。

「では、ご用意させて頂きますね」

　侍女は私達へ化粧と髪型のセットを手早く済ませる。

「そろそろお時間ですので参りましょう」　

　私はスーッと息を吐いて吸った。

（あの男とはなるべく関わりたくないが、仕方ない）

　侍女に先導され、皇帝のいる食堂に入室する。そこには白い巨大な長机の食卓テーブルがあり、そのテーブルを挟んだ向こう側に、彼は頬杖をしたまま偉そうに座っている。

「ははっ、機嫌はどうだ？」

　腹の底からムカつく声が、頭から降り注ぐようにして聞こえて来た。