処刑後転生した悪女は、狼男と山奥でスローライフを満喫するようです。〜皇帝陛下、今更愛に気づいてももう遅い〜
第4章
 この日は朝、雨音で目が覚めた。

「雨?」
「ああ、夜明けくらいから降ってる」

 今日は畑仕事を手伝う予定だっただけに、少し寂しい気分になる。

「今日は畑仕事できないな」
「そうね」
「まあ、まずは朝ごはんを食べよう」

 今日の朝食はパンとポタージュ。温かなポタージュが胃全体に染み渡る。

「美味しいわ」
「良かった」
「リークの作る料理はどれも美味しい」

 正直、後宮の厨房にいた料理人よりも好みだ。

「そう言ってくれると嬉しい」

 リークが照れ笑いを浮かべている。そんなリークを見て私はくすっと笑った。
 朝食を食べ終えると、自室に戻る。

「何をして過ごそうか」

 とはいってもすぐには思いつかない。

「暇つぶしになりそうなもの…」

 ふと自分の服が入ったクローゼットに目線がいった。そこには前世で着ていたドレスが入っている。
 
「思いついた!」

 思いついたが一直線。私はリークを呼ぶ。

「ねえ、宮廷ごっこしない?」
「宮廷ごっこ?」
「こないだナターシャ…妃のドレス貰ったじゃない?それを着て宮廷にいる人達の気分になるというか」
「ふむ…やってみるか」

 という訳で宮廷ごっこが始まった。まず私はドレスに着替えて、髪型を自力でセットする。

「リーク様、いかがでしょう?」

 話し方も当時を振り返りながらそれっぽくしてみた。

「えと、どう話せば…」
「いつも通りでもいいわよ」
「じゃしゃあ…ナターシャ様、リークにございます」

 リークは右手を胸に置き、私へとぎこちないお辞儀を見せた。

「リーク様、私の手を取ってくださる?」
「もちろん」
 

 
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