処刑後転生した悪女は、狼男と山奥でスローライフを満喫するようです。〜皇帝陛下、今更愛に気づいてももう遅い〜

　朝。朝食のトーストを食べていると、玄関からこんこんと音が聞こえてくる。

「リーク、なんだろう」
「ちょっと見てくる」

　リークが玄関の扉に向かっていったので私は椅子に座ったまま待つ。するとリークが白い封筒を持って戻って来た。

「ナターシャ、白い封筒が宙に浮いていた」
「？」

　リークな封筒を開く。すると金の小さな鎖に小さな丸い水晶がついたネックレス2つに、白い便箋が1枚入っていた。
　リークが便箋を開き、中に書かれてある文言を読み上げはじめる。

「迷彩魔術がかかったネックレスです。これをつければどこでも安心して移動出来ると思います。メイル…だって」

　なんとメイルからの贈り物だった。

「これを付けていれば、どこでもバレずに移動出来るのかしら」
「ナターシャ、試してみるか？」
「え」

　リークの急な提案に、思わず私は変な声を出してしまう。

「これをつけて、街へ出てみよう」
「今から？！リーク本気？！」
「ああ、朝ごはん食べてからな」

　リークはさっと朝食を食べ終えると、そのまま自分の食器を流しへ全て持っていった。

（う、嘘でしょ…）

　私はリークを追うように慌てて朝食を食べ終えると、食器を流しへ運ぶ。
　そして支度を済ませ、メイルが送ってくれたネックレスをつけると、荷物を持って中庭の水鏡へと移動する。

「リーク、皇帝のいる都は流石に危険よ…」
「だな、確かに」
「移動するなら…ローティカはどうかしら」

　ローティカはこの国では2番目に繁栄している大都市だ。皇族の別荘もある。
　古くから発展している街で、私も前世ではこの街にいた時がある。

「分かった。では、ローティカへいこう」
「ええ」