処刑後転生した悪女は、狼男と山奥でスローライフを満喫するようです。〜皇帝陛下、今更愛に気づいてももう遅い〜
第6章
 朝。起きると部屋の中が冷たくなっている気がする。このところ寒さが増しているような感覚がある。

「おはようリーク」
「おはようナターシャ」

 そろそろ寝間も冬用の物を用意しなければ。また買い物に行く時見てみよう。

「朝食手伝うわ」
「わかった。じゃあ野菜スープよそってほしい」

 今日の朝食は野菜スープとパン。野菜スープはコンソメで味をつけたものだ。これを作り置きしておくとカレーにもシチューにもなるので、まさに優れものと言えるだろう。

「頂きます」

 パンも野菜スープも美味しい。冷え切った体に暖かい野菜スープが身に染みる。

「はあ…美味しいわ」
「寒い時こそ温かいスープが一番だ」
「そうね」

 朝食を食べ終えると、リークは畑を見に行った。私は1人リビングでのんびりと過ごす。

(そういや、リークの部屋どんな感じなんだろう)

 リークの部屋を覗く。内装及び家具の配置は私がいる部屋とほとんど変わらない。

「あれは…」

 ベッドの横にある小さな机のような物置棚の上に、毛糸の編み物が置かれてあった。
 鍵と編み物が雑に置かれているという事は、まだ途中なのだろう。

(編み物も出来るのか)

 そう考えるとリークはやはり器用な男である。

「ふう…」

 ここでリークが家に戻って来た。私はいつも通りリークを出迎えに行く。
 せっかくなので、編み物についても話をしてみよう。

「お疲れ様」
「ああ、畑は問題ないようで良かった」
「ええ、良かったわ…それでちょっとお願いがあるのだけれど」
「話?」
「私も編み物してみたいわ」



< 49 / 135 >

この作品をシェア

pagetop