処刑後転生した悪女は、狼男と山奥でスローライフを満喫するようです。〜皇帝陛下、今更愛に気づいてももう遅い〜
第8章
 その言葉に私とリークは思わずえ、と口に出す。

「ええ、魔法で家をミニチュアにして移動させるの」
「な、なるほど…」
「ナターシャ驚いているようね」

 だが、これなら家及び衣食住は何とかなりそうだ。私は彼女の魔法に対して驚きつつも一安心する。

「でもどこへ避難すればいいんだ?」

 というリークの疑問。するとそこへおーい…とマッシュの声が聞えて来た。

「はあ…はあ…」
「マッシュさん?!」

 マッシュは息切れしていた。リークがマッシュへ水を持って来ようとするが、マッシュはそれを制する。

「リーク。水は大丈夫じゃ。まずは避難先を決めよう」
「そ、そうですね…」
「とりあえず避難先についてじゃが、ここから南まで下ろうと思う。海に面している方は今戦争している国とは接してないからのう」

 だが、海の方まで南下するとなるとここから歩いてどれくらいかかるだろうか。

(いや、待てよ。水鏡を使えば…)
「私はそれでいいと思います。メイルさん水鏡使えますよね?」
「ええ、使えるわよ」
「リークはどう思う?」

 リークは一瞬私の方を見ると、納得したかのように大きく縦に頷いた。

「それでいいと思う」
「じゃあ、決まりですね」
「ナターシャ、1ついいか?」
「リーク?」
「自分の親も、避難するのかどうか…」

 リークは自身の親がかなり気がかりなようだ。それもそうだ。そう言えばこの山奥の集落に暮らしているとリークは以前語っていたような。

「リーク、そこの集落の様子も見といた方が良いかしら?」
「ナターシャ…そうだな。出来れば見ておきたい。その後家族と話してから避難でもいいだろうか」

 リークのその考えに対して、私とメイルとマッシュは肯定のサインを出した。

「では、それで行きましょう」

 という私の言葉が号令となる。まずは避難の準備だ。リュックサックに必要なものを詰め込み、家から出た後は魔法で家の敷地自体をミニチュアサイズにする。
 ミニチュアサイズになったリークの家。大樹とツリーハウスも一緒だ。それらをリュックサックに詰め込み、次はマッシュとメイルの家に向かって、同じような工程を行う。
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