処刑後転生した悪女は、狼男と山奥でスローライフを満喫するようです。〜皇帝陛下、今更愛に気づいてももう遅い〜
「ナターシャ…?」
「レジスタンスの話、聞いたでしょ?レジスタンスがこの町にある以上、私達が戦いに巻き込まれる可能性は高くなったと思うの」
「…」
「それに、皇帝に見つかればただでは済まないわ」
「そうだよな…」

 なら、この町から出ていき、新しい場所へ行くべきかもしれない。私はそうリークに伝えたのだった。

「出ていくなら、どこへ?」
「帝都は一番安全だけど、狼男の迫害を考えると難しいかなって。ハイランドの街とか?」
「あー…」
「それか、前いたとこみたいにどこかの山の中でひっそりと暮らすのもありだと思うの」
「メイルさん達は?」
「どう、伝えたら良いのか分からない…ベストなのは、正直に話す事だと思うけれど…」

 しばらく沈黙が流れる。そして私より先にリークが口を開いた。

「町長には申し訳ないが、メイルさん達にも話そう」
「でも…」
「やっぱり、伝えた方が良いんじゃないかって」
「…そうね」
「彼らは口が硬い方だと思う」

 私達は考えた末、この事をメイルとマッシュに打ち明ける事に決めた。
 玄関のドアをノックすると、メイルがいつも通り笑顔で出迎えてくれる。

「あら、どうしたの?」
「話があって…いいですか?」
「その顔、何かあったのね。さあ、入りなさい」

 私達はリビングで、メイルとマッシュに事の次第を打ち明けた。

「そんな事があったなんて…」
「そうか…」

 2人とも、真剣な表情で話を聞いてくれた。

「それで、メイルさんとマッシュさんはどう考えますか?」

 と、私が質問を投げかける。

「わしは、ここから出ていくのも気が引けるというか…」
「気に入ってたものね」
「うむ…」
「私なら…しばらくここにいて様子見してから決めるかも」
「メイルさん…」
「確かにリスクはあるし、町の人とも顔は合わせづらいけどお金の事もあるし…」
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