時を刻まなくなった時計

 「私も欲しい」そう言っても、彼は譲ってくれなかった。いつでも、ちょうだい、と言えば何でも彼はくれたのに。でも、それだけ大事なものなのだと思う。

 今思うと、そう思える子供時代を送れた私は幸せだったのだと、痛いほど感じさせられる。

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