君と青空を泳ぐ
第一章 飛び込み
「ねえ!お母さんまた勝手に私の部屋入ったでしょ!!」
部屋の物の位置が変わっているのを見て、私は叫ぶ。
「雪葉が自分で片付けないからでしょ!」
お母さんがそう反論して、私を目を見つめる。
「私は私の決めた場所においてるんですうーーー。てか机の上に置いといたシャーペンないんだけど!!どこやったの!?」
「すてた」
シャーペンを捨てられたことはもちろんなのだけれど、それに加えて私は、お母さんのこの適当な物言いに腹が立ってきてしまう。
「はあ!?ふざけんな!まじでうざい。友達とお揃いで買ったやつだったのにどうすんの!!」
「はいはい。そうですか。また買えばいいじゃん」
私はますます感情的になって、お母さんは意地でも冷静さを保つ。この繰り返しだ。
「今お金ないの!しかもあれは友達と一緒に買ったからいいの!!二度と同じのは戻ってこないんだってば!!」
良くないとわかっていても、沸き立つ感情が抑えきれない。
「また新しいの買ってくるからいいでしょ。」
冷静さをアピールをしていたお母さんだったが、よくみると頬が少し引きつっていた。それを見てかなり怒っていることに感づいた私は、自分の部屋へと逃げるように向かう。
「今の話聞いてた!?耳悪いんじゃないの!?」
最後にそう吐き捨てて勢いよく扉を閉める。
「あーーーもうーーーなんだよまた買えばいいじゃんて。ほんといらつく」
皮膚がひりひりとしたところで、無意識に頭をかきむしっていたことに気がつく。
手を離すと、いくつかのふけが雪のように降ってきて、指には長い髪の毛が何本か絡まりついていた。
それを見て、またいらつきが湧き出てくる。
「あー、はやくこんなところ出てってやりたい」
なんだか自分のいる世界が狭苦しく感じて、私は部屋の中でこっそりとぼやく。