君と青空を泳ぐ

 ――ガタンゴトン。

揺れる列車、覗く観覧車。

私の心はどんどんと踊っていく。

 次は、葛西臨海公園、葛西臨海公園。

  ピッという改札を出る音と共に、心の揺れはさらに大きくなる。

太陽は、相変わらず灼熱の温度でこちらに顔を向けてくる。
 
「二十分前に着いちゃったよ。翔くんさすがにまだ居ないよねー」

と言いながらあたりを見回すが、やはりそれらしい姿は無い。

 そのまま十五分ほど待っていると、途端どうしても落ち着きが無くなってしまって、トイレへと入った。

服と髪と化粧のチェックをしてから出てみるもののまだ翔くんは現れない。
 
「雪菜ー!」
 そう私の名前が呼ばれたのは、それから10分ほど経った後だった。

「ねえー翔くん5分遅刻ー」

 優しく笑いながら、翔くんの愚行を咎める。

「ごめんごめん。起きるの遅くなっちゃってさ。あ、雪葉お化粧してきたんだ。似合ってるね。」

 急に飛んできた褒め言葉に、私の頬はチークなんていらないという程に赤く染まる。

 (やっぱり翔くんのこんなところが大好き。)

 噛み締めるように、強く思う。彼を一生愛し続けていくんだと。

愛され続けるんだと、心に刻み込みながら。

「それじゃあ、いこっか!」

「うん!」

 鋭く強く返事をする。

 記念日デートの始まりだ。
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