迷宮階段
「麻衣と海人を見てるとね、私も彼氏が欲しくなっちゃったの」
 適当な嘘を並べると香は目を輝かせた。

「そうなんだ!? 真美ならきっとすぐにできるよ。可愛いし、スタイルもいいもん」
 それは以前まで麻衣へ向けて言われていた言葉だった。結局みんな、クラスの中心的人物にこびるために嘘をついているだけなんだろう。

「そう? ありがとう」
 私は微笑んで、そう返事をしたのだった。
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