迷宮階段
☆☆☆

 麻衣の、あの嫌味ったらしい笑顔を消してやりたい。麻衣の、あの勝誇った笑みを崩してやりたい。
 私はゆっくりと階段を上がる。

 さっきスマホの時間を確認したら、四時四十三分だった。あと一分でその時間になる。
 その時間になると同時に私は下から四段目に立っていた。そしてニヤリと微笑む。

「幼馴染の八木弘志を山下尚也に交換」
 放課後の階段で、自分の声だけが響き渡った。
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