迷宮階段
☆☆☆

 どれだけ夜遅くに出歩いていたって私達は補導されない。補導員や警察官に声をかけられたって、父親の名前を出せばすぐに黙らせることができた。
「真美って本当に無敵中学生って感じだよね!」

 放課後遊びに明け暮れているとき涼子が言った。
 無敵中学生か。それも悪くないかもしれない。今の私に怖いものなんてなにもないんだから。

 私は気を良くしてふふっと笑う。
「涼子は次どこに行きたい? タクシー呼んでどこでも連れてってあげるよ」

「わぁい! ありがとう!!」
 家に帰ればお金が準備されている。夜遅く帰っても怒られない。

 試しに涼子の家に無断外泊してみたけれど、両親から連絡が来ることはなかった。だんだん家から足が遠のいて、帰る理由はお小遣いを取りに戻ることだけになっていく。

 いつでも私の周りには友達がいて、夜遊べる新しい友達もできはじめていた。
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