迷宮階段
新しい友だち
 翌日学校へ来ると担任の先生が西村杏に変わっていた。
 彼女はホームルームのときからずっとおどおどしていて、生徒たちと視線を合わせようとしない。

 それをいいことに、教室内で私語が止まることはなかった。
「うちの担任楽勝だよねぇ」

 涼子が鼻歌交じりに言っている。
「一年生の担任になってる矢沢先生とかめんどくさいらしいよ? よかったよねぇ私達の担任じゃなくて」

「そうだね。よかったよね」
 私は机の上に出した手鏡でメークを直しながら受け答える。

 西村先生は歴史を担当していたけれど、歴史の授業はほとんどの生徒が話を聞いていなかった。
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