迷宮階段
制服姿のままでは目立ちすぎるから、近くのお店で適当な服を購入してその場で着替えることにしている。こうすればすぐに補導員が近づいてくることもない。
「ねぇ、あなたたちなにしてるの? よかったら、一緒に遊びに行かない?」
街を歩いていると派手な二人組の女の子を見かけたので声をかけた。彼女たちは私と同じ中学二年生で、隣町から遊びに来ていた。
「へぇ! 榊原会社の娘さんなんだね」
エイミと名乗ったミニスカートの子が驚いた様子を見せる。本名かどうかも怪しいけれど、そんなのどうでもよかった。
「そうだよ」
私は胸を張って頷く。
「だからそんなに高級バッグ持ってるんだ?」
緑のタンクトップを着ているグリーンと名乗った子は、私の持っていたバッグに興味津々だ。
「そうだよ。なんでも買ってくれるの。今日はお小遣いももらってきたから、ふたりには色々奢ってあげる!」
上機嫌に言う私に、エイミとグリーンが目配せをする。私はそれに気が付かずにブランドバッグの自慢を続けたのだった。