迷宮階段
☆☆☆

「真美、今日はありがとね! 最終電車がなくなっちゃうから、私ら帰らなきゃ」
 一一時を過ぎたころ、エイミが残念そうに言った。

 せっかく気の合う友達ができたのに、彼女たちには帰る家がある。
「そっか。じゃあまた会おうね」

「もちろんだよ。私達からも連絡する」
 グリーンも名残惜しそうだ。

 私達は駅前で手を振って別れた。途端に一人になり、なんとなく溜息が出る。
 さっきまでとてもおもしろかったから、急に静かになって少しさみしいのかもしれない。

「どうしよう。私も帰ろうかな」
 今から同年代の子を見つけるのは難しい。もうみんな家に帰ってしまっている時間帯だ。

「ねぇ君、暇なら俺たちとどっか行かない?」
 その声に顔を向けると派手な男性二人組が立っていた。

 ふたりともっすでに二十歳は超えているように見える。一人は金髪で、一人は耳に沢山のピアスを開けている。
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