迷宮階段
 相手が出てくる前にグリーンに背中を押されて玄関の前に移動する。そしてドアが開いたそのとき……。
「いらっしゃい」

 耳に沢山のピアスがついた男が立っていた。その後ろには金髪の男。
 どこかで見覚えがあると思っていたら、昨日ナンパしてきた二人組みだと気がついた。

「この子がお金持ちで可愛い子? 確かに可愛いね」
 化粧をしている私の顔をジロジロと眺め回してピアス男が言う。

 なにかを考えるよりも先にサッと血の気が引いた。逃げなきゃ!
 咄嗟に思うけれど、真後ろにはグリーン、横にはエイミが立っていて逃げられない。

「そうだよ。悪くないでしょ?」
 エイミが自慢気に鼻をふくらませる。

「あ、あのやっぱり私帰るね」
「何言ってんの。夜はまだこれからっしょ?」

 金髪頭が腕を伸ばして掴んできた。
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