迷宮階段
「いや!」
 無意識に振り払い、エイミの体を突き飛ばして走り出す。

「逃がすな!」
「くそっ」

 後方から男たちが追いかけてくる足音がする。
 錆びた階段を一気に駆け下りて暗い夜道を全力で走る。

やがて後ろから追いかけてくる音は聞こえなくなったけれど、走っても走ってもすぐ後ろにあいつらがいる気がして、家まで足を緩めることができなかったのだった。
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