迷宮階段
 私が次の言葉を言うよりも先に電話は切られてしまっていた。私は信じられない気持ちでスマホを見つめる。こんな風に突き放されるなんて思ってもいなかった。

 確かに私は自由にしていたけれど、でもだからってこんな扱いしなくてもいいのに!
 やっぱりお母さんじゃダメだ。お父さんに連絡しなきゃ!

 電話をかけると、こちらもすぐに繋がった。
『真美か、どうした?』

「お父さん離婚って嘘だよね? それに私今すごく怖いことがあったの。話を聞いてほしいの」
『急にしおらしい声を出してどうしたんだ? お前はなんでもお金で解決してきただろう?』

「変な男たちに襲われそうになって」
『それは大変だ。でも、それもお金で解決できるだろ?』

「でもっ!」
『お父さん今忙しいから、切るぞ』
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