迷宮階段
☆☆☆

 いつの間に眠っていたんだろう。頭を撫でられる感覚で意識が覚醒していく。
 グッスリと眠っていたみたいで、体がとても重たい。

 それにしても、今私の頭を撫でてくれているこの手は誰だろう。
 お母さん?それとも、お父さん?

「大丈夫か?」
 低い男の人の声が聞こえてきた。ということは、お父さんだろうか。

 この家に男の人はお父さんしかいないから、きっとそうなんだろう。
「怖い夢……見た」

「怖い夢?」
「うん。男の人に追われる夢」

「そうか、それは怖いな」
「でも、もっと怖い夢も見た」

「どんな?」
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