迷宮階段
「家族を……みんなを交換する夢」
「交換?」

「そう。私が自分のためにみんなを交換して……」
 そう、あれは悪い夢だったんだ。今ようやく私は目を覚ますことができた。

 今日は何曜日だろう。学校は?
 ぼんやりとした頭で考えていると、次第に意識がはっきりし始めた。ぼやけていた周囲の光景が鮮明になる。

 私はキッリンの床で眠っていて、床にはゴミが散乱している。
 え。どうしてこんなに汚いの?

 私のお母さんはちゃんと片付けをする人なのに。そう思った次の瞬間飛び起きた。
 頭を撫でていた手が引っ込められる。

顔を向けるとそこにいたのは金髪頭のあの男だったのだ。
奥にはピアスの男の姿もある。

「キャア!」
 すぐに飛び退り、距離を置く。
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