迷宮階段
「今ので、六回目……」
 声が震えた。

 私は交換階段の回数を超えてしまった。だから、今立っているここは……。
『よくわからないけど、死ぬとか、消えるとか、そういうことなんだと思う』

「いや……」
 ふるふると左右に首をふる。

 そんなことあるはずない。どこかに出口があるはずだ!
 私は階段を駆け下りる。

 走って走って走って、何度も転びそうになって足を止めずに走って。
 それでも終わりは見えない。階段は永久に続いている。

「いや……いやあああ!!」
 私の悲鳴はどこまでもどこまでも続く階段にこだまして、やがて消えた。
< 163 / 164 >

この作品をシェア

pagetop