迷宮階段
「高校生になったらバイトして、欲しいもの全部買うんだなぁ!」
「欲張り!」

 麻衣の友人らに混ざってファッション誌へ視線を向ける。そこには今年の流行の小物が載っていた。
 でも、これはどういうことだろう。どうして私はこんなふうに麻衣たちと一緒にいるんだろう。

「真美今日はどうしたの? やけに静かなじゃい?」
 麻衣が首をかしげてこちらへ視線を向ける。

「え、えっと、そう、かな?」
 なんだかわからないまま、笑顔を浮かべてみる。

「いつもの真美だったら、『これ欲しい』とか『これ可愛い』とか、言ってくるじゃん」
 いつもの真美という言葉に心臓がドクンッと跳ねた。さっき里子もいつも読んでるけどと言っていた。

 でも私の記憶では昨日まではこんなことはなかったはずだ。麻衣たちと一緒に雑誌を囲んで読んだことなんて一度もない。
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