迷宮階段
 そこから先はまるで魔法みたいだった。麻衣が手を動かしたそばから私の顔が変化していく。
 目は倍くらいに大きく、眉は柔らかく優しそうな印象に、唇はうるうるに。そして出来上がった自分の姿に驚いて鏡に見入ってしまった。

「すごい! まるで別人みたい!」
 驚く私に麻衣は自信満々に微笑んだ。

「私メークの腕上げたでしょう?」
「こんなことができるなんて本当にすごいよ!」

 鏡の中私はまるで別人だ。親が見たらきっと驚くだろう。
「将来はメークアップアーティストになるんだもん。当然でしょう?」

 胸を張る麻衣の姿がとてもまぶしい。
「それでこの街を出るの?」

 麻衣は大きく頷く。
「そうだよ。私は芸能人やモデルさんを綺麗にしてあげたい」
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