迷宮階段
☆☆☆

それから五分ほど経過するとA組の教室内はほとんどの生徒が登校してきていた。
「セーフ!」

そう言いながら教室に入ってきたのは牧内海人だ。私は海人の顔を見て苦笑いを浮かべる。
「今日もギリギリじゃん」

時計を確認すると、ホームルーム開始まであと三分くらいだ。
海人はいつもこんな時間に登校してきているけれど、不思議と遅刻したことはなかった。

「ギリギリでも遅刻しなかったらいいんだよ」
そう言いながら私の頭をポンッと叩く。

「いいなぁ、海人くんと真美。よくお似合いだよね」
里子が羨望の眼差しでそう呟くので、なんだか照れくさくなってしまう。私と海人は二年生に上がってから付き合い始めた。

最初は会話するにしてもぎこちなかったけれど、最近こうしてようやく馴れてきたところだ。
「ねぇ、そろそろどっちから告白したのか教えてくれてもいいんじゃない?」

里子の言葉に私と海人は目を見交わせる。
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