迷宮階段
☆☆☆
ホームルームが終わって一時間目が始まるまでの短い休憩時間になると、里子はいつも机の上に文庫本を取り出して読み始める。その本は怖い話のものが多くて、今日もそういう本を読んでいるらしかった。
「本当に、怖い話が好きだよねぇ」
隣の席の里子に呟くように声をかける。里子は本から顔を上げてニッと笑った。
「面白いよ。都市伝説とか、怪奇現象とかって、未だに解明されていないものが沢山あるんだから」
謎が多いものが好きなのかもしれない。
本を読んでいるときの里子はいつも目を輝かせている。けれど、休憩時間なるとすぐに集まってコスメの話をしたり、お菓子を分け合ったりしている麻衣たちのグループをつい羨ましく感じてしまうのだ。
里子がもう少し明るい性格だったらいいのにな、と。
「この学校にも七不思議があるよ」
「え? そうなんだ?」
麻衣たちへ視線を向けていた私は里子へ視線を戻した。里子はいつの間にか本を閉じて机に置いていた。
「トイレの花子さんとか、科学室の人体模型とか」
「それって小学校の頃にも流行ったヤツでしょう?」
ホームルームが終わって一時間目が始まるまでの短い休憩時間になると、里子はいつも机の上に文庫本を取り出して読み始める。その本は怖い話のものが多くて、今日もそういう本を読んでいるらしかった。
「本当に、怖い話が好きだよねぇ」
隣の席の里子に呟くように声をかける。里子は本から顔を上げてニッと笑った。
「面白いよ。都市伝説とか、怪奇現象とかって、未だに解明されていないものが沢山あるんだから」
謎が多いものが好きなのかもしれない。
本を読んでいるときの里子はいつも目を輝かせている。けれど、休憩時間なるとすぐに集まってコスメの話をしたり、お菓子を分け合ったりしている麻衣たちのグループをつい羨ましく感じてしまうのだ。
里子がもう少し明るい性格だったらいいのにな、と。
「この学校にも七不思議があるよ」
「え? そうなんだ?」
麻衣たちへ視線を向けていた私は里子へ視線を戻した。里子はいつの間にか本を閉じて机に置いていた。
「トイレの花子さんとか、科学室の人体模型とか」
「それって小学校の頃にも流行ったヤツでしょう?」