迷宮階段
 答えている間に海人が近づいてきて麻衣の隣に立った。
「麻衣、今日はどこに行く?」

「あぁ~……今日はいっかな。私も用事があるの思い出しちゃった」
 麻衣の肩に乗せられた手を振り払い、麻衣は教室を出ていく。海人は慌ててその後をついていく。

 その様子に私はゆるゆると息を吐き出した。
 海人のことはとても好きだったけれど、なんだか今の海人は好きになれない。

 あんな風に相手にされていない麻衣のあとを追いかけている海人には魅力を感じられなくなっていた。
「昔の方がずっとかっこよかったなぁ」

 私はポツリと呟いたのだった。
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